建設機械の米国株 — 日本企業から見る対応表
建設機械は、日本の投資家にとって対応関係が見えやすい業界です。コマツや日立建機を知っていれば、アメリカのキャタピラーがどんな会社かは想像がつきます。
ただし、並べてみると「同じ建設機械の会社」とは言い切れない違いも見えてきます。このページでは、日本のメーカーを入口に、アメリカの上場企業5社を対応させて紹介します。
この業界の日本の顔ぶれ
アメリカの対応企業
| 企業 | ティッカー | 事業 | 売上高 | 掲載企業内シェア | 時価総額 | 対応の濃さ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| キャタピラーCaterpillar Inc. | CAT | 建設機械と鉱山機械に加え、石油・ガスや発電、船舶、鉄道に使うエンジンを手がける。自社の金融部門を通じて、機械の販売に融資を組み合わせている。 | 10.8兆円FY2025 · 米国基準 | 51.5% | 62.7兆円 | コマツ ◎ 日立建機 ○ |
| ディアDeere & Company | DE | 農業機械を主力とするメーカー。ブランド名はジョンディア。建設・林業向けの機械も手がけ、自社の金融部門を持つ。 | 7.3兆円FY2025 · 米国基準 | 34.8% | 26.2兆円 | コマツ ○ 日立建機 △ |
| オシュコシュOshkosh Corporation | OSK | 高所作業機(JLG)、消防車、軍用車両などの特装車両を手がける。 | 1.7兆円FY2025 · 米国基準 | 7.9% | 1.5兆円 | タダノ △ |
| テレックスTerex Corporation | TEX | 砕石・選別などのマテリアル処理機械、ごみ収集車などの廃棄物・リサイクル機器、高所作業車(ジーニー)を手がける。 | 8,636億円FY2025 · 米国基準 | 4.1% | 1.2兆円 | タダノ △ |
| マニトワックThe Manitowoc Company, Inc. | MTW | クローラークレーン、タワークレーン、移動式クレーンを手がける。ブランドはマニトワック、ポテイン、グローブなど。 | 3,570億円FY2025 · 米国基準 | 1.7% | 1,188億円 | タダノ ◎ |
対応の濃さ:◎ 直接競合(世界市場で同じ製品・顧客を取り合う)/○ 同業(業界は同じだが事業構成が異なる)/△ 部分対応(一部の事業のみ重なる)
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上の表のシェアは、掲載した米国企業5社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
日米の構造の違い
「建機専業」は日本側に多い
日本側の3社は、いずれも建設機械やクレーンを主力とする専業メーカーです。米国側でそれに当たるのはキャタピラーで、残る4社はそれぞれ重心が違います。ディアは農業機械が主力、オシュコシュは消防車や軍用車両を含む特装車両、テレックスはマテリアル処理と廃棄物機器、マニトワックはクレーンという構成です。
同じ「建設機械」の棚に並べても、会社の成り立ちが違う。これがこの業界で対応表を作るときの最初の注意点になります。
機械を売る会社が、金融も持っている
キャタピラーとディアは、自社の金融部門を通じて機械の購入資金を融資しています。決算にも金融のセグメントが独立して現れるため、製造業の数字だけを見ていると全体像を取り違えます。
同じ構造は日本側にもあります。コマツの事業部門は「建設機械・車両」「リテールファイナンス」「産業機械他」の3つで、リテールファイナンスが建設・鉱山機械のリースと割賦を担っています。一方、日立建機とタダノには金融のセグメントがありません。
高額な機械を扱う業界で、販売と金融が組み合わさっている会社と、そうでない会社がある。ここは日米の違いではなく、会社ごとの違いです。
クレーンで対応するのは1社だけ
日本では移動式クレーンをタダノが専業として手がけています。米国側でこれに正面から対応するのはマニトワックです。クローラークレーン、タワークレーン、移動式クレーンを製造しています。
テレックスとオシュコシュも並べていますが、重なっているのは高所作業車の範囲だけです。テレックスの報告セグメントはマテリアル処理・廃棄物リサイクル・高所作業車の3つで、移動式クレーンは含まれていません。オシュコシュも高所作業機はJLGブランドで手がけるものの、他は消防車と軍用車両です。同じ「クレーンの会社」と括ると実態を外します。
よくある質問
コマツのアメリカ版はどこですか?
建設機械を主力とする点で最も近いのはキャタピラーです。両社とも油圧ショベルやブルドーザー、鉱山向けの大型機械を手がけています。
ディアは農業機械の会社ではないのですか?
主力は農業機械です。4つの報告セグメントのうち2つが農業機械で、米国SECへの登録上の業種も農業機械となっています。ただし建設・林業のセグメントで油圧ショベルやブルドーザーも手がけているため、この対応表に含めています。農業機械としての対応は、日本ではクボタが近い位置にあります。
アメリカには建設機械の専業メーカーが少ないのですか?
このページの5社のうち、建設機械を主力とするのはキャタピラーです。残りは農業機械、特装車両、マテリアル処理、クレーンと、それぞれ別の重心を持っています。
数値はいつ時点のものですか?
売上高は直近の通年決算で、米国企業は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)、日本企業は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書が出典です。株価と時価総額はページ下部に記載の基準日時点のものです。決算と株価は更新のタイミングが異なるため、それぞれの日付を併記しています。
なお、各社の決算期はそろっていません。キャタピラーは12月期、ディアは11月期、コマツと日立建機は3月期、タダノは12月期です。会計基準も米国基準・IFRS・日本基準が混在するため、売上高の範囲は完全には一致しません。表と図には各社の期と会計基準を併記しています。
数値の基準日
- 売上高(米国企業)
- 各社の直近の通年決算(FY2025)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
- 売上高(日本企業)
- 各社の直近の通年決算(2025年12月期・2026年3月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
- 株価・時価総額
- 2026-08-15 時点
- 為替
- 1米ドル = 159.31円(2026-08-15 時点)
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。