ディア(DE)はどんな会社か
日本ではあまり知られていませんが、アメリカの農家にとってのトヨタのような存在です。緑と黄色のトラクターはジョンディアのブランドで、1837年から農業機械を作り続けています。
このサイトでディアを建設機械の棚に並べているのは、4つの事業のうち1つが建設・林業機械だからです。コマツや日立建機と重なるのはその部分で、会社の主力は農業機械です。
基本情報
- 正式社名
- Deere & Company
- ティッカー
- DE(NYSE)
- 業種(SEC登録)
- Farm Machinery & Equipment(SIC 3523)
- 決算期
- 11月期
- 株価
- 608.85 ドル(約 96,993 円)
- 時価総額
- 26.2兆円
- 発行済株式数
- 269,937,425 株
事業の中身
4つの報告セグメント
10-Kによれば、ディアの事業は4つのセグメントで管理されています。
- Production & Precision Agriculture(大型農業機械・精密農業)— 大型トラクター、収穫機、綿花摘み取り機、サトウキビ収穫機、播種・施肥・防除の機械
- Small Agriculture & Turf(小型農機・芝草管理)— 小型トラクター、飼料収穫機、牧草機械、乗用芝刈機、ゴルフ場用機械、多目的車
- Construction & Forestry(建設・林業機械)— バックホーローダー、ブルドーザー、スキッドステアローダーなど
- Financial Services(金融)— ジョンディア・ファイナンシャル。機械の購入資金を融資する
農業機械の2セグメントで売上の6割を超えます。建設・林業は約4分の1です。
「精密農業」という区分
最大のセグメントの名前に Precision Agriculture(精密農業)が入っています。GPSや画像認識で畑の状態を見ながら、必要な場所にだけ種や薬剤をまく技術のことです。機械そのものより、機械に載せる技術と、そこから得られるデータを事業の柱に据えているという区分の立て方です。
日本の建設機械メーカーが「ICT施工」を掲げているのと発想は近いものの、ディアはセグメントの名前そのものに入れている点が違います。
決算期が11月
ディアの決算期は11月です。FY2025は2025年11月2日に終わりました。北半球の農業のサイクルに合わせた区切りで、12月決算のキャタピラーや3月決算のコマツとは期がずれます。
同じ「FY2025」でも対象期間が違うため、他社と並べるときは注意が要ります。このサイトの表と図には各社の期を併記しています。
機械を売る会社が金融も持っている
Financial Services が独立したセグメントとして立っています。農家や建設業者が高額な機械を買うときの資金を、ディア自身が融資する仕組みです。
同じ構造はキャタピラー(Cat Financial)にもコマツ(リテールファイナンス)にもあります。一方で日立建機とタダノには金融のセグメントがありません。高額な機械を扱う業界で、販売と金融を組み合わせている会社とそうでない会社がある、という違いです。
何で稼いでいるか
事業別
- 大型農業機械・精密農業2.8兆円38.5%
- 建設・林業機械1.9兆円25.2%
- 小型農機・芝草管理1.7兆円22.6%
- 金融(販売金融)1.0兆円13.6%
地域別
- 米国3.8兆円52.5%
- 西欧1.0兆円14.3%
- 中南米8,932億円12.3%
- アジア・アフリカ・オセアニア・中東6,759億円9.3%
- カナダ5,950億円8.2%
- 中欧・CIS2,509億円3.4%
FY2025の売上高の内訳です。米国SECへの提出書類(XBRL)から取得し、合計が売上高と一致することを確認しています。区分は会社が開示するものをそのまま用いており、当サイトで分類し直したものではありません。日本語の区分名は当サイトによる訳です。四捨五入と社内取引の相殺のため、内訳の合計は売上高と一致しないことがあります。
最新の決算
2026年2〜5月期10-Q 2026-05-28 提出
| 項目 | 2026年2〜5月期 | 2025年1〜4月期 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2.1兆円 | 2.0兆円 | +4.7% |
| 営業利益 | — | — | — |
| 純利益 | 2,824億円 | 2,874億円 | -1.7% |
米国SEC(証券取引委員会)に提出された四半期報告書(10-Q)の数値です。当サイトが原文を翻訳したものではなく、開示された数値をそのまま日本語の表に置き換えています。増減は前年の同じ四半期との比較です。円換算は表の下に記載した基準日のレートによる単純換算で、決算時点の為替とは異なります。
- 四半期報告書(10-Q)2026年2〜5月期米国SEC EDGAR(英語)
- 年次報告書(10-K)2025-11-02 期末米国SEC EDGAR(英語)
- 提出書類の一覧(EDGAR)過去の決算をすべて辿れます
業績と配当の推移
| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | 1株あたり配当 |
|---|---|---|---|---|
| FY20252025-11-02期末 | 7.3兆円 | — | 8,008億円 | 6.48 ドル |
| FY20242024-10-27期末 | 8.2兆円 | 1.4兆円 | 1.1兆円 | 5.88 ドル |
| FY20232023-10-29期末 | 9.8兆円 | 2.1兆円 | 1.6兆円 | 5.05 ドル |
| FY20222022-10-30期末 | 8.4兆円 | 1.5兆円 | 1.1兆円 | 4.36 ドル |
| FY20212021-10-31期末 | 7.0兆円 | 1.3兆円 | 9,499億円 | 3.61 ドル |
直近5期の通年決算です。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)。円換算は表の下に記載した基準日のレートによります。配当は実績であり、将来の配当を示すものではありません。
日本企業との違い
コマツとの重なり(対応の濃さ ○)
重なるのは建設・林業機械のセグメントです。バックホーローダー、ブルドーザー、スキッドステアローダーといった建設現場向けの機械で、コマツと同じ市場に出ています。
ただし会社全体で見ると重心が違います。コマツは建設機械・鉱山機械が主力で、ディアは農業機械が主力です。SECへの登録上の業種もディアは農業機械となっています。両社とも自社の金融部門を持つ点は共通です。
なお、農業機械としてディアに対応する日本企業はクボタです。この業界ページでは建設機械の軸で並べているため、クボタは登場しません。
日立建機との重なり(対応の濃さ △)
日立建機は油圧ショベルと鉱山機械の2セグメントです。ディアの建設・林業機械にも掘削機械はありますが、日立建機が強い超大型の鉱山機械はディアの事業に含まれません。重なる範囲は狭くなります。
| 日本の企業 | 対応の濃さ | 重なるところ |
|---|---|---|
| コマツ | ○ | 建設・林業機械で重なるが、ディアは農業機械が主力 |
| 日立建機 | △ | ディアの建設・林業セグメントの一部のみ重なる |
対応の濃さ:◎ 直接競合(世界市場で同じ製品・顧客を取り合う)/○ 同業(業界は同じだが事業構成が異なる)/△ 部分対応(一部の事業のみ重なる)。判定は日米双方のセグメント開示を突き合わせて行っています。
よくある質問
ジョンディアとディアは同じ会社ですか?
同じです。正式社名は Deere & Company で、製品のブランド名がジョンディアです。創業者ジョン・ディアの名前が、そのままブランドとして使われています。
なぜ建設機械のページに農業機械の会社があるのですか?
4つの報告セグメントのうち1つが建設・林業機械で、そこでコマツや日立建機と同じ市場に出ているためです。会社の主力が農業機械であることは、上の売上構成の図で確認できます。このサイトは「同じ業界の会社」ではなく「どこがどれだけ重なるか」を示すことを目的にしています。
決算期がほかの会社とずれているのはなぜですか?
ディアの決算期は11月です。北半球の農業のサイクルに合わせています。キャタピラーは12月、コマツと日立建機は3月、タダノは12月と、各社の決算期はそろっていません。売上高を並べるときは、各社の期が違うことを前提に見る必要があります。
数値はいつ時点のものですか?
通年の決算は直近5期で、出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)です。四半期の決算は四半期報告書(10-Q)によります。株価と時価総額はページ下部に記載の基準日時点のものです。円換算は同じ基準日のレートによる単純換算で、決算時点の為替とは異なります。
数値の基準日と出典
- 決算
- FY2025(2025-11-02 期末)
- 株価・時価総額
- 2026-08-15 時点
- 為替
- 1米ドル = 159.31円(2026-08-15 時点)
事業内容・従業員数・販売網は FY2025 の 10-K、売上高・利益・配当・発行済株式数は同社のXBRLデータ(米国SEC)、株価と為替は Yahoo Finance によります。
投資判断は自己責任で行ってください。
当サイトは特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。