通信の米国株 — 日本企業から見る対応表
通信は、これまでの業界と決定的に違う点があります。日米の会社が競合しません。
建設機械ではコマツとキャタピラーが世界市場で同じ顧客を取り合い、自動車でもトヨタとGMが米国で並んで売られています。しかし通信は国ごとの免許事業で、NTTの携帯電話を米国で契約することはできません。
そのため、このページの対応表に◎(直接競合)は1件もありません。それでも並べる意味はあります。同じ「通信会社」でも、日米で会社の形がまるで違うからです。
この業界の日本の顔ぶれ
アメリカの対応企業
| 企業 | ティッカー | 事業 | 売上高 | 掲載企業内シェア | 時価総額 | 対応の濃さ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベライゾンVerizon Communications Inc. | VZ | 個人向けと法人向けの2セグメント。携帯と固定回線の両方を提供する。 | 22.0兆円FY2025 · 米国基準 | 39.2% | 32.1兆円 | KDDI ○ NTT ○ ソフトバンク ○ |
| AT&TAT&T Inc. | T | 米国の通信事業と、メキシコでの無線事業の2セグメント。通信が売上の96%を占める。 | 20.0兆円FY2025 · 米国基準 | 35.7% | 27.2兆円 | KDDI ○ NTT ○ ソフトバンク ○ |
| T-モバイルT-Mobile US, Inc. | TMUS | 無線通信に集中。年間契約や超過料金の廃止など、Un-carrierと称する施策を掲げる。 | 14.1兆円FY2025 · 米国基準 | 25.1% | 31.2兆円 | KDDI ○ NTT △ ソフトバンク △ |
対応の濃さ:◎ 直接競合(世界市場で同じ製品・顧客を取り合う)/○ 同業(業界は同じだが事業構成が異なる)/△ 部分対応(一部の事業のみ重なる)
規模の比較
日本企業(オレンジ)と米国企業(青)を同じ物差しで並べています。米ドルは基準日のレートで円換算しました。会計基準が異なるため、売上高の範囲は完全には一致しません(各社の基準を併記しています)。上の表のシェアは、掲載した米国企業3社の売上高合計に占める割合です。世界市場でのシェアではありません。
日米の構造の違い
日本の通信会社は、通信だけの会社ではない
日本側3社は、いずれも通信以外の事業を大きく抱えています。
- NTT — 4つの区分のうち、グローバル・ソリューション事業はコンサルティング、ITソリューション、システム開発、データセンターです。NTTデータグループがここに入ります
- KDDI — パーソナル事業に金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)が含まれます。持分法適用の共同支配企業にローソンがあります
- ソフトバンク — 5つの報告セグメントのうち、メディア・EC(Yahoo! JAPAN、LINE、ZOZO)とファイナンス(PayPay)で売上の約3割です
一方、米国側は通信に寄っています。AT&Tは売上の96%が通信セグメント、ベライゾンは個人向けと法人向けという顧客の区分で、どちらも中身は通信です。
「通信会社」という同じ棚に並べても、会社の輪郭が違うというのが、この業界を見るときの最初の注意点になります。
区分の切り方も違う
- ベライゾン — 顧客で切る(個人向け、法人向け)
- AT&T — 地理で切る(米国の通信、メキシコ)
- KDDI — 顧客で切る(パーソナル、ビジネス)
- NTT・ソフトバンク — 事業の種類で切る
区分の立て方が一致しているのはKDDIとベライゾンです。このページで構造が最も近い組み合わせになります。
なぜ◎がないのか
対応の濃さの◎は「世界市場で同じ製品・顧客を取り合う」場合に付けています。通信は各国の免許を受けて行う事業で、日本の会社が米国の利用者に携帯電話を売ることはありません。逆も同じです。
同じ理由で、通信会社の売上は基本的に自国の市場から生まれます。AT&Tの海外事業はメキシコだけで、売上の3.5%です。日本側3社も海外はKDDIのモンゴル・ミャンマーなど限られています。
世界で戦う建設機械や自動車のメーカーとは、この点が根本的に違います。
よくある質問
ソフトバンクとソフトバンクグループは違うのですか?
別の会社です。このページで扱っているソフトバンク(証券コード9434)は通信事業を行う会社で、有価証券報告書には親会社がソフトバンクグループ㈱であると書かれています。ソフトバンクグループ(証券コード9984)は投資を主な事業とする会社で、通信の対応表には含めていません。
NTTドコモは対応表にないのですか?
NTTドコモはNTTの連結子会社で、有価証券報告書では総合ICT事業の中に含まれています。上場していないため、このページではNTTとして扱っています。
日米の通信会社を比べる意味はありますか?
同じ顧客を取り合うわけではないので、勝ち負けを比べる意味はありません。このページの目的は、同じ「通信会社」でも会社の形が国によってどう違うかを見ることにあります。日本の会社が通信以外の事業を大きく持つのに対し、米国の会社が通信に寄っているのは、その一例です。
数値はいつ時点のものですか?
売上高は直近の通年決算で、米国企業は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)、日本企業は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書が出典です。株価と時価総額はページ下部に記載の基準日時点のものです。
各社の決算期はそろっていません。ベライゾン・AT&T・T-モバイルは12月期、NTT・KDDI・ソフトバンクは3月期です。会計基準は日本3社がIFRS、米国3社が米国基準です。売上高の範囲は完全には一致しないため、表と図には各社の期と会計基準を併記しています。
数値の基準日
- 売上高(米国企業)
- 各社の直近の通年決算(FY2025)。出典は米国SEC(証券取引委員会)に提出された年次報告書(10-K)
- 売上高(日本企業)
- 各社の直近の通年決算(2026年3月期)。出典は金融庁EDINETに提出された有価証券報告書
- 株価・時価総額
- 2026-08-15 時点
- 為替
- 1米ドル = 159.31円(2026-08-15 時点)
投資判断は自己責任で行ってください。
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数値は基準日時点のものです。最新の情報は各社の開示資料をご確認ください。